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『空海からのおくりもの 高野山の書庫をひらく』


(凸版印刷株式会社・印刷博物館,2011.4.23,247頁,\2,000〈税込〉)
先月の下旬から始まった企画展示の図録。
始まって1週間ほどたった祝日(4月29日)に行ってきましたが、会場はガラガラ。なんとも理想的な空間です。
「空海」とか「高野山」の名に惹かれて、どんな美しい密教美術の数々が展示されているのだろう、という期待とともに行くと、幻滅間違いなし。要するに、高野版を中心とした、中世日本の版本の特集です(宋~明の版本も若干あり)。しかし、これがまたマニアックな品揃えで、ちょっとこれまでにない規模なのではないかと思われる。
観覧者のほとんどいない空間に、ズラッと陳列された中世版本の数々は、なかなか壮観ですわい。
展示の詳細は、そちらのサイトでご確認のほどを。
展示図録にも感心させられました。上掲の画像では、表紙しか見えませんが(しかも当方のスキャナの不具合からヘンな筋が入ってしまってます)、この表紙は、黒地の紙に黒く経典の文字が少し盛り上がって印刷されているんですが、ご覧になってお分かりのとおり、文字が裏文字になっている。つまり、「版木」のイメージですわ。実際、高野山に現存する版木も、多く展示されている。
しかも、ふつうクルミ表紙にするところを、わざとオモテ・ウラの表紙を別にして、背表紙をつけない特殊な装丁を採用している。背の様子がわかるように撮影した画像がこれ。↓

現代の書籍というのは、つまり伝統的な装丁で言えば、「列帖装」に相当するんだ、ということがよくわかるユニークな装丁。ご趣向ですなァ。
敢えて集客しないのも、きっと博物館側の心憎い演出なんじゃないかしら。
こういうものが好きでたまならない人、必見の企画。
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斯道文庫編『書誌学展図録』
書誌学展図録
(慶應義塾大学附属研究所斯道文庫編,2010.12.1,209頁,\2,000)
大学院生の時分、慶応出身の人には、なんであんなに文献学や資料紹介の領域ですぐれた力量を持った人が沢山いるんだろう、と眩しい思いで眺めていたことがある。すべての理由がそこにあるかどうかは別として、多分その最大の理由が、斯道文庫という機関が存在することにあるらしい、ということがやがて分かった。
その斯道文庫が慶応大学の付属機関となって50周年(それ以前は福岡県の私設研究機関だった)を記念した展示がこの月曜日(11月29日)から開催されている(土曜日まで)。2日目の火曜日に行ってきた。
単なる貴重書の展示というだけではなく、展示をはじから観て行くと、古典籍の書誌学に関する知識をひととおりなぞることができるように工夫されている。展示図書の選定はもちろん、その開示箇所も、書誌学に関するどんな情報を示すかという目的に相応しいところが選ばれて展示されている。企画準備に相当な時間が費やされているであろうことが思いやられる内容。それにしても、書誌学ひととおりの事柄の説明が、所蔵資料でできてしまうということの迫力。国文学研究資料館でもこの春、類似のコンセプトの企画展示がありましたが、(あれはあれで面白かったけれど)展示資料のランクが斯道文庫の方が一段高い。
そんなわけで、展示図録は、そのまま書誌学入門の書にもなっている。制作には、この春、橋本不美男『原点をめざして』(笠間書院)以来の総合的書誌学入門書というべき、評判の1冊(↓、著者は4月から斯道文庫の所属に)を出版した勉誠出版があたっており
書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む
(2010/04/04)
堀川貴司

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写真などにも充分な配慮が施されていて、理解を助けてくれている。
個人的には、版本の校正に関する資料が興味深かった。ああいう風に校正をしたんですなァ。著者にもよったのだろうが、平田篤胤という人は、相当細かいところまでチェックが入っていて面白かった。
さて、20年近く前、眩しく眺めていた若き慶応出身の研究者は、その後順調に各研究機関・大学に就職して行き、そして今、ほとんどこの斯道文庫に戻って来て、次の世代の育成にあたっている。その先生方が総出で、1日2回のギャラリートークが開催されているらしい。

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お茶の水図書館所蔵 竹柏園本万葉集展示会
竹柏園展示
お茶の水図書館には、佐佐木信綱旧蔵の万葉集関係の重要な写本類が多く所蔵されていることは、よく知られていることではありながら、では、その実物を見たことがある人というのは、かなり少ないのが事実だと思う。
たとえば、こんにち、『万葉集』のテキストは、現存最古の完本である西本願寺本を使用するのが常識のようになっているが、では、その西本願寺本の現物を見たことがある人というのは、専門の研究者でも、たぶんあまり多くはないのではないか、と思う。私は、1度だけあるのだけれど、それは現在出版されている西本願寺本の影印本の作成作業に携わったからで、それがもう20年近く前のこと。たぶんあの事業より後に研究の世界に入った人で、西本願寺本を実見したことがある人はいないのではないか、と思う。
これは、それだけお茶の水図書館が所蔵の資料を大切に保管することに努めている証左で、長い目で見たとき、研究界としては喜ばしいことだと言ってよい。
しかし、このたび、どのようなきっかけがあってか、お茶の水図書館が所蔵する竹柏園(佐佐木信綱の文庫)本の万葉集関係の古写本を多く展示するとの報を、しばらく前に得た。近年稀なる椿事と言ってよい。しかもたった1日だけの公開だという。知らせを得た日から、楽しみに今日という日を待ち続け、本日、一番で出かけた次第。
池坊お茶の水学院(図書館の向いの建物)の5階で午前10時から公開とのことで、10時10分ごろ会場に入る。
会場に一歩踏み込み、場内を見渡した(広さ的には大した広さではない。80平米ていどか。パーテーションなどもないので、文字通り一目で見渡せる)とたん思ったのが、「こりゃすげえや」という印象で、思わず声に出して言ってしまった。一部の資料がガラスケースに入っている以外は、長机に資料がむき出しに置いてあるように見えた。(実はいずれにも透明のシートがかかっている。)展示資料との距離が異様に近い。それだけだったら、学会での図書展示などでときどきある光景だが、並んでいるものが、一見しただけでタダモノではないと察せられるものばかり、ずらずらと並んでいる。いちいちを見て行くと、「桂本」、「藍紙本」、「天治本」、「尼崎本」、「古葉略類聚鈔」「西本願寺本」…とにかく名だたる万葉集の古写本やその断簡ばかりである。
間にガラスをはさまないので、シートで保護されていても、観覧者の多くが自然にパンフレット(画像を掲げたA41枚両面印刷のもの)で鼻と口を覆うような姿勢で資料を覗き込んでいた。つまりそれくらいに資料との距離が異様に近いのである。(また、資料を見るときにそういう姿勢をとるたしなみのあるような人ばかりが集まっていた、とも言えるのですが。)
かねて用意の鉛筆でメモを取りながら、約80分ばかり滞在。31点の資料をじっくり眺める至福を味わう。
当初恐れていたような混雑は起こらず、じっくり観ることができてよかったよかった。

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『二世 市川左團次展―生誕130年・没後70年によせて―』
市川左団次展
(早稲田大学坪内逍遥博士記念演劇博物館,2010.10.19,72頁,\800〈税込み〉)
永井荷風の『断腸亭日乗』を読んでいるとよく出てくるのがこの2代目左団次で、また、「鳴神」「毛抜」などの元禄風の歌舞伎を復活させるかと思えば、革命後のロシアで公演を行ったり、赤毛物を積極的にかけたりと、そのころのインテリ層に受けるキャラクターなり芸風だったんだろうな、というのはなんとなく分かる(というか勝手に分かったつもりになっている)のだけれど、いまひとつ具体的なイメージが絞り込めない、という印象がある役者、というのが私個人の2代目左団次イメージです。
6代目菊五郎や初代吉右衛門などとほぼ同世代なのだろうけれど、菊吉にはその舞台を記録した映像があるのに対して、左団次のそれは見た覚えがない、というのも、そんな曖昧なイメージしか抱けない原因のひとつだろうか。(2代目の動く映像ってあるんですかね。初代の映像はちゃんと残ってるんですよねぇ。たった1分だけだけど。)
ですから、そんな2代目左団次について、いろいろな情報を提供してくれる企画展で、ありがたい。乃木希典・大隈重信やムッソリーニ(!)などという、かなりキワモノっぽい役もこなしているんですなァ。
↓は、架蔵の2代目左団次の墨跡。自作句なのだろう「ちらちらと小袖にかかる桜かな」。松莚は左団次の俳号。

左団次墨跡

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展示2件
展示に行ってまいりました。
まずは、演博の「並木宗輔展」。もう、文字いっぱいです。ごちそうさまでした。
並木宗輔展(B5版,2009.12.1,88頁,\1,000〈税込〉)

そして、会津博物館。韓国嶺南大学所蔵の古地図コレクションの特別展示です。18世紀から20世紀初頭の資料が中心。文化3年(1806)に日本で出版された朝鮮地図に緯線が印刷されているのが意外だった。すでに38度線の認識があったんですなァ。
朝鮮半島古地図(A4版,2009.11.24,47頁,\800〈税込〉)

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博物館へ初もうで
東京国立博物館へ。
企画展示が行われていない正月松の内明けの博物館は、じつに閑散としていて、それがまたなんとも結構でございました。
おなじみの常設展示の数々にまじって、昨年11月から江戸時代の金工細工「自在置物」の特集展示が行われており、そこに陳列されたモノに、すっかり魅了されてしまいました。
金属という硬いモノを材料に、どこまで生き物の柔軟性をリアルに表現できるか、という極致をつきつめたような奇跡の造型の数々。見終わって、ミュージアムショップに直行し、この特集展示用に発行された図録を購入。それが↓(東京国立博物館,2008.11.18,40頁,\700〈本体〉)展示は2月1日(日)までとのこと。
自在置物
で、ミュージアムショップでたまたま見つけた本が、これまた面白い。
『針聞書』 虫の知らせ『針聞書』 虫の知らせ
(2007/11/01)
笠井 昌昭長野 仁

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(JCAST,2007.11.1,63頁,¥1,200〈本体〉)
戦国時代の医学書『針聞書』なる文献には、人間の体内にひそんでいるという虫がいろいろ描かれている。その「虫の絵」をカラーで紹介した書籍なんだけど、虫はどれもこれも誠にユニーク。この写本、現在は九州国立博物館が所蔵しており、同館の呼び物のひとつになっているようだ。同館のHPでも、虫の画像が見られます。あんなのが体の中にいたらいやだなァ…。

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『三代目坂東三津五郎展―その足跡と衣裳―』
三津五郎展
(早稲田大学坪内逍遥博士記念演劇博物館編,2008.11.15,96頁,800円)

別荘をかまえた深川永木河岸にちなんで「永木の三津五郎」と呼ばれた、3代目坂東三津五郎(1775~1831)の特集展示。芝居絵・番付・書簡等、展示資料は多岐に渡り、充実しているが、特に、3代目三津五郎が実際に使用したと言われる衣裳類と、それを伝えた元お狂言師・坂東三津江関係資料が興味深い。3代目三津五郎の芸は、この100歳まで長生した女師匠・三津江によって、7代目三津五郎(「踊りの神様」と称された、近代の歌舞伎舞踊の名人)に伝承された、ということは8代目三津五郎の著作で読んでいたが、今回かの展示と、パンフの解説によって、その詳細を初めて知った。

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ニッポンの映像展
ニッポンの映像展
(早稲田大学演劇博物館,2008.7.1,60頁,\500〈税込〉)

多くが演劇博物館所蔵資料による展示なので、いつかどこかで見た覚えのある資料が多いのだけれど、貴重な資料の展示には違いがない。8月3日までの企画展。詳細な解説付きで展示資料の画像を掲載した本図録も、ぜひ。

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『館蔵資料でたどる 日本の歴史』
日本の歴史


(早稲田大学図書館,2008.3.21,22頁,無料)

早稲田大学の図書館が、展示室で開催している企画展のパンフ。
3月下旬からGWの卒業~新歓の時期には、この手の館蔵資料による企画展が開催されるのが、このところ恒例になっているようだ。
今回の、日本史関係の展示も、かつて何度か類似の展示が開催されており、展示の資料も、お馴染みのものが中心ではある。
しかし、今回すごいのは、全頁カラー印刷の展示目録が無料配布されていること。「古典籍総合データベース公開記念」を謳っており、いつもより多めの予算がついたものか。
期間の最後までこのパンフが残っているかどうか。確実に手に入れるのなら、早めにお出かけになった方がよろしいかと。

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『西行の仮名』(出光美術館)
西行の仮名

(出光美術館,2008.2.23,136頁,\2,000)

平安末期の歌人・西行にちなむ仮名資料を一堂に会した大企画。たぶん、相当ハイグレードな展示なのだと思う。時雨亭の蔵書があれだけまとまって貸し出されることだけでも、ちょっとないのではないか、と思う。(シロト了見にね。)
冷泉家から流出した俊成・定家父子の歌集書写事業に関わる写本やその切が巷間でなぜ「西行筆」と見做されるようになったのか、ということをめぐる考証は誠にスリリング。そしてそのスリリングな考証を、実物を使って解説してしまうというのが、この展示の魅力だと思う。
ただ、すごいわりに文字中心の展示なので、広く世間に訴えるアピール性はないかもしれない。だから比較的お客さんの入りはうすく、それがまた観る側にとっては、ゆっくり自分のペースで観ることができてありがたい。

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古川ロッパとレヴュー時代
古川ロッパとレヴュー時代

(早稲田大学坪内博士記念演劇博物館,2007.5.18,76頁,¥1,200〈税込〉)
サブタイトルは「モダン都市の歌・ダンス・笑い」。
大正期から昭和30年代あたりまでの、日本の軽演劇・レヴューの歴史が概観できる展示。いろんなものがフロアーいっぱいに、所狭しとひしめいています。この時代のこの分野に関心がある人、必見。
図録も、展示品すべてではなけど、ほぼ網羅して写真を掲げ、解説が示されている。

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大正シック
大正シック展

目黒の都立庭園美術館で開催中の企画展の図録。
2002年にアメリカで開催された巡回展とほぼ同内容の企画で、この解説図録も、アメリカで作成されたものの翻訳が中心の由。
「大正」と銘打っているけれど、展示品(ホノルル美術館の所蔵品)には昭和初期のものも少なからず混じっており、正確には「1920年代~30年代の日本」と言った方がいい。
目玉はその当時の美人画の数々。図録表紙に採用された中村大三郎『婦女』(モデルはデビュー間もない入江たか子)をはじめ、その数々は、なんとも魅力的。個人的には橋口五葉の美人版画に特に魅せられました。
観客もそれほど多くなく、落ち着いて鑑賞できる。

昼食の後、都営三田線で神保町に出て、古書会館へ。
月曜日だけれど、古書店開催中。
新宿武蔵野館プログラム

いくつか買い物をしたけれど、上に掲げたのは、新宿の映画館「武蔵野館」のプログラム。大正15年7月のもの。この表紙も、いかにも「大正シック」です。
年代からお察しのとおり、まだサイレントの時代。この武蔵野館は東京でも有数の高級映画館で、弁士には、後に放送や演芸の世界でも活躍する、徳川夢声・山野一郎といった人気者がいた。

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