購書ときどき読書、まれに訪書
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
岩田重則『「お墓」の誕生』
「お墓」の誕生―死者祭祀の民俗誌 「お墓」の誕生―死者祭祀の民俗誌
岩田 重則 (2006/11)
岩波書店

この商品の詳細を見る


実は学部学生のときに、民俗学のフィールド調査の真似事をしたことがある。そのときに、「両墓制」ということばを聞きかじったのだが、ほんとうに聞きかじっただけで、ちっとも文献で調べようとしなかった。20年ぶりに、この書で「両墓制」とはどのようなものかを学ぶ。
しかし、この本は、「両墓制」の一般的理解を解説するだけではなく、そこに潜む問題点を指摘し、《死》をめぐる民俗の感覚に関する独自の分析を展開してゆく。
その他、日本民俗における《死》をめぐるさまざまな話題が取り上げられている。
スポンサーサイト

テーマ:書籍紹介 - ジャンル:本・雑誌

東京古書会館
宝船1


本日は「趣味展」。
古本市で売られているのは、本ばかりとは限らない。VTRやレコードなんかはしょっちゅう出ているし、今日は江戸後期のおみくじセットが一式売りに出ていた。
画像を掲げたのは、「宝船」。正月2日、初夢にいい夢が見られるようにというわけで、このような宝船が描かれた版画を買って、枕に敷いて寝る習俗があったんだ。船体に「獏」と書かれているのは悪夢を食べてくれると信じられた動物の名を記したもの。右に赤く印字されているのは、「長きよのとおのねぶりのみなめざめ波のり船の音のよきかな」という和歌で、これは下から読んでも同じ文句の回文になっている。やはり吉夢を見るための呪文のような和歌と考えられていたようだ。
もう1枚↓

宝船2


こちらは宝船に1対の立ち雛が乗っている図案。左のひし形印には「夫婦和合」としてある。新婚さん用の?
いずれも明治期ごろのものでもあろうか。

テーマ:古本 - ジャンル:本・雑誌

古典籍展観大入札会
古典籍入札会

ちょっと報告が遅れてしまったけれど、先週の週末、東京古書会館では、恒例の大入札会の下見。入札には業者しか参加できないけれど、出品の典籍は誰でも見ることができる。
目録をあらかじめもらってあったのだが、今回は『万葉集』の写本が出る、とのことで、そのあたりを目当てに出かける。
目録の写真からもあるていど予想はついたが、今回出品の『万葉集』の写本は、漢字の字体や訓の配置等から判断して、おそらく寛永版本の写し。いわゆる「嫁入り本」として用意されたものと思われ、蒔絵の箱に納まっていた。研究本文としてはあまり価値はないと思われるが、しかし万葉を全文書写するだけで、その労力は大変なもの。写本じたいの存在がめずらしいと言える。

テーマ:古本 - ジャンル:本・雑誌

中国・韓国の古書の世界
書林の眺望 伝統中国の書物世界 書林の眺望 伝統中国の書物世界
井上 進 (2006/11/10)
平凡社

この商品の詳細を見る


本に対する思い入れというのは、単なる内容への知的興味に限らず、「本」という物質そのものへのある種のフェティッシュな関心もある。複製や翻刻で充分たりるところを、あえて古本で手に入れようとすることも、その具体的な現われ。上掲の本は、最近発刊された、中国の古書をめぐる書。専門的な話題もあるが、エッセイ風の筆致が親しみ深い。
また、中国と並んで日本の古典文化に深いつながりがある韓国の古書籍の世界を概説した本も最近出版された。安春根『図説・韓国の古書 本の歴史』(文〔女+燕〕珠訳,日本エディタースクール出版部,2006.11.10,134頁,\2,600)がそれ。韓国(朝鮮)の古書籍に関する文献というのはあまり類書が多くないように思う。貴重な1冊。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

終戦直後の寄席演芸誌『新演藝』
新演藝

終戦の翌年、1946年から14号に渡って刊行された落語を主とする寄席演芸専門誌に『新演藝』がある(光友社,創刊号定価¥4.50)。1949年3月発行の第14号まで刊行された。
いちおう月刊をうたっているが、約2年半で14号というのだから、かなり不定期だったことがわかる。まだ出版物も配給の時代。ちなみに当初4円50銭だった定価は、第12号では40円になっている。
創刊から第3号までの表紙がなぜかバックス・バニー。
とにかく昭和20年代前半の寄席演芸の動向が知られるばかりでなく、歴史的史料価値がある情報が詰まっている。創刊時、古今亭志ん生・三遊亭圓生が大陸に行ったきり音信不通状態。まだ初代桂小南なんかが生きていて、第2号の座談会に登場している。
端本はよく出るので、数冊バラで持っていたのだけれど、14号揃いが売りに出たので、この際だからと購入。
ちなみに大正時代に同名の雑誌が定期刊行されていたが、そちらは歌舞伎を中心とする演劇誌。「演芸」ということばは、かつてはむしろいまの「演劇」というのにほぼ等しい意味で使われていたことは、他に『演芸画報』という歌舞伎専門誌が存在したことからもうかがえる。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

やっと出た『フレッド・アステア自伝』
フレッド・アステア自伝 Steps in Time フレッド・アステア自伝 Steps in Time
フレッド アステア (2006/10)
青土社

この商品の詳細を見る

(篠儀直子・訳,453頁)
ミュージカル映画、好きなんですよ。小学生の頃から好きだったように思うけれど、意識して観るようになったのは大学に入ってから。学部生当時(1980年代後半)、都内の名画座では、ときどきミュージカルの特集上映があったんです。学生個人がビデオデッキを持つのにはまだちょっと早い時期で、昔の映画ももっぱら映画館で観た。そのことは、なかなかいい経験だったと思っている。
そんな中で、フレッド・アステアとの出会いもあったワケだけれど、上掲の書の訳者も、当方とほぼ同世代で、同じように大学生時分に名画座でアステアに出会ったらしい。ご同慶の至り、と言おうか、同病相哀れむと言おうか。まァこっちはいまだにあくまでも素人ですが。
ミュージカル関係の著述の中でしばしば言及されるアステアの自伝の邦訳がようやく出版されたのは嬉しい限り。しかし、この原書、今から半世紀近く前(1959年)に出版されたものなんですね。アステアが還暦のころ。彼にはまだ30年近くの人生があったわけで、晩年まで含めた自伝も読みたいもの。それにしてもなんで今まで邦訳が出なかったんでしょ?
1987年、アステアが死去したとき、早稲田の文学部では、大学院の演劇専攻の有志学生(だったと思う)が、追悼の上映会を開催した。ジンジャー・ロジャーズと共演してRKOで撮ったシリーズのうちから“踊らん哉(Shall We Dance)”(1937)だった。往年の名ミュージカル・スターの死を、極東の大学の学生たちがひっそりと悼んだのである。そこに列なっていた、ということも、学生時代の忘れ難い思い出のひとつ。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

「国書刊行会」の謎
国書刊行会出版目録

『続々群書類従』とか、新井白石・伴信友・菅政友など近世の学者の全集などを明治の後半に出版していた「国書刊行会」というのは、とうぜん現在の同名出版社の前身なのだと思っていたんだけれど、どうも直接の関係はないらしい。(現在の国書刊行会は1970年代の創業の由。)
明治期の国書刊行会の性格については、画像を掲げた『国書刊行会出版目録附日本古刻書史』(1909.4.30,非売品)の巻末に収められた「第一期刊行顛末」という一文(執筆は刊行会理事・市島謙吉)によって初めて知った。
古典学者・今泉定介が市島謙吉に働きかけ、会員制の貴重図書の刊行事業を興そうとしたところに始まったらしい。市島が早稲田大学の図書館長を勤めていた関係からだろうが、トップに大隈重信を迎え、有力な研究者を集めて組織したようすが記述されている。
これを読んで、早稲田の図書館の貴重書の中に、ときどき国書刊行会の原稿に記された和書の写本があることの背景も、なんとなく理解できた。
同書の「日本古刻書史」の部は、百万塔陀羅尼をはじめとする日本の版本の歴史を綴ったもので、古版本の実寸大の複製が挿入されていたりして面白い。

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。