購書ときどき読書、まれに訪書
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中野三敏『写楽―江戸人としての実像』(中公新書)
写楽―江戸人としての実像 写楽―江戸人としての実像
中野 三敏 (2007/02)
中央公論新社

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(2007.2.25,202頁,\760〈本体〉)
「写楽は誰か」――繰り返し取り上げられてきたこのポピュラーな「謎」が、実は謎でもなんでもなかった――つまり、そういう本。
「だって、『増補・浮世絵類考』に「阿波藩の能役者・斎藤十郎兵衛」って書いてあるじゃん」筆者の論旨はつまりそういうことだ。従来の諸論は、『増補・浮世絵類考』の記述は信用できない、というのが大前提になっていたのだが、なんでそんなことが「常識」になってしまったのか、この本を読むと、ホントウに不思議でならない。
『類考』の記述を強力に裏書する『江戸方角分』の紹介と相俟って、もう「写楽は誰か」なんてことに浮かれている段階ではないような気がする。しかも、本書の論旨は、すでに30年前に提唱済みだった。
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神野志隆光『漢字テキストとしての古事記』
漢字テキストとしての古事記 漢字テキストとしての古事記
神野志 隆光 (2007/02)
東京大学出版会

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(東京大学出版会,2007.2.20,228頁,\2,200〈本体〉)
東大駒場での学部生相手の授業に基づく内容。だから比較的分かりやすく説いてあって読み易い。当方としては珍しく最初から最後まで一気に通読しました(3時間ほどかかったけど)。
数年前に『古事記』を語り部のオババの口調で現代語訳した本がベストセラーになり、それがまた文庫化され、最近では『古事記』を中国少数民族の口誦表現と関わらせて論じる新書が出版されたりしているけれど、それらの『古事記』把握とは対極的な態度に立つ内容。
漢字によって書記されることで初めて成り立つ『古事記』の文体について、その周辺も含めて説く本書の内容には、基本的に納得が行く。
だけど、歌謡とのかかわりを説く第7・8節になると、俄然、なんのことやら理解不能に陥ってしまう。きっと私がバカなんでしょう。
『古事記』の地の文と歌謡の内容が合致しないように思えても、あるがままを『古事記』の方法として受け入れればいいのです。それを現代人のさかしらで、両者に齟齬があるとして原型に溯ろうとしたり、整合性を求めていらぬ深読みをしてはいけないのです。思考停止しなさい――って言っているわけじゃないですよね?

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岡田温司『処女懐胎』(中公新書)
処女懐胎―描かれた「奇跡」と「聖家族」 処女懐胎―描かれた「奇跡」と「聖家族」
岡田 温司 (2007/01)
中央公論新社

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(2007.1.25,274頁,\880〈本体〉)
図像学っていうのは面白いですな。
古典的な絵画には、洋の東西を問わず、特定のテーマには類型的な構図や、モノに付与された「意味」に溢れているわけで、それを読み解く面白さってのがあるわけです。
この1冊は、お馴染み聖母マリアの懐胎というテーマを中心に、受胎告知の瞬間をどう物語的に表現するかとか、神の子を身ごもるマリアの「無原罪性」をいかに描くか(「無」いことを描く困難さをどう克服したいかってことです)とか、ホントウは父親じゃないことになってしまうヨセフをどう扱うかとか、といった話題について、初心者(かくいう私もそのひとり)に分かりやすく解説してくれている。中世からルネサンス期の宗教画理解へのいい導入になると思う。

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ドリームガールズ
DREAMGIRLS

(東宝(株)出版,2007.2.17,28頁,\600〈税込〉)
見事な映画です。いいです。
1960年代の風俗がよく再現されていて、それだけで見応え充分。
ジュディ・ガーランドを心の女優と仰いでいるという当方の趣味からおわかりのとおり、映画をとおしたあこがれの時代は1930年代・40年代なのだけれども、この映画で描かれる60年代風俗も実にいい。
上掲の写真も、そんな60年代っぽさがよくあらわれているという意味で、あえてパンフの裏表紙をば。
考えてみると、2007年の現在、60年代の風俗に憧れながらミュージカル・シーンを見るって、つまり公開当時の「ザッツ・エンターテインメント」の観客が、フレッド・アステアやエレノア・パウエルを憧憬のまなざしで見てるのと、時間的な感覚がほぼ同じなのね。つまり、そういう魅力がたしかにある、という作品。
ストーリーはかつてのMGMミュージカルのような予定調和なものではなく、もっとシリアスな展開。でも、救いようがないままハイおしまい、ではなく、やっぱり充分なカタルシスとともにいい気持ちで見終わることができる。

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