購書ときどき読書、まれに訪書
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
お茶の水図書館所蔵 竹柏園本万葉集展示会
竹柏園展示
お茶の水図書館には、佐佐木信綱旧蔵の万葉集関係の重要な写本類が多く所蔵されていることは、よく知られていることではありながら、では、その実物を見たことがある人というのは、かなり少ないのが事実だと思う。
たとえば、こんにち、『万葉集』のテキストは、現存最古の完本である西本願寺本を使用するのが常識のようになっているが、では、その西本願寺本の現物を見たことがある人というのは、専門の研究者でも、たぶんあまり多くはないのではないか、と思う。私は、1度だけあるのだけれど、それは現在出版されている西本願寺本の影印本の作成作業に携わったからで、それがもう20年近く前のこと。たぶんあの事業より後に研究の世界に入った人で、西本願寺本を実見したことがある人はいないのではないか、と思う。
これは、それだけお茶の水図書館が所蔵の資料を大切に保管することに努めている証左で、長い目で見たとき、研究界としては喜ばしいことだと言ってよい。
しかし、このたび、どのようなきっかけがあってか、お茶の水図書館が所蔵する竹柏園(佐佐木信綱の文庫)本の万葉集関係の古写本を多く展示するとの報を、しばらく前に得た。近年稀なる椿事と言ってよい。しかもたった1日だけの公開だという。知らせを得た日から、楽しみに今日という日を待ち続け、本日、一番で出かけた次第。
池坊お茶の水学院(図書館の向いの建物)の5階で午前10時から公開とのことで、10時10分ごろ会場に入る。
会場に一歩踏み込み、場内を見渡した(広さ的には大した広さではない。80平米ていどか。パーテーションなどもないので、文字通り一目で見渡せる)とたん思ったのが、「こりゃすげえや」という印象で、思わず声に出して言ってしまった。一部の資料がガラスケースに入っている以外は、長机に資料がむき出しに置いてあるように見えた。(実はいずれにも透明のシートがかかっている。)展示資料との距離が異様に近い。それだけだったら、学会での図書展示などでときどきある光景だが、並んでいるものが、一見しただけでタダモノではないと察せられるものばかり、ずらずらと並んでいる。いちいちを見て行くと、「桂本」、「藍紙本」、「天治本」、「尼崎本」、「古葉略類聚鈔」「西本願寺本」…とにかく名だたる万葉集の古写本やその断簡ばかりである。
間にガラスをはさまないので、シートで保護されていても、観覧者の多くが自然にパンフレット(画像を掲げたA41枚両面印刷のもの)で鼻と口を覆うような姿勢で資料を覗き込んでいた。つまりそれくらいに資料との距離が異様に近いのである。(また、資料を見るときにそういう姿勢をとるたしなみのあるような人ばかりが集まっていた、とも言えるのですが。)
かねて用意の鉛筆でメモを取りながら、約80分ばかり滞在。31点の資料をじっくり眺める至福を味わう。
当初恐れていたような混雑は起こらず、じっくり観ることができてよかったよかった。
スポンサーサイト

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

『二世 市川左團次展―生誕130年・没後70年によせて―』
市川左団次展
(早稲田大学坪内逍遥博士記念演劇博物館,2010.10.19,72頁,\800〈税込み〉)
永井荷風の『断腸亭日乗』を読んでいるとよく出てくるのがこの2代目左団次で、また、「鳴神」「毛抜」などの元禄風の歌舞伎を復活させるかと思えば、革命後のロシアで公演を行ったり、赤毛物を積極的にかけたりと、そのころのインテリ層に受けるキャラクターなり芸風だったんだろうな、というのはなんとなく分かる(というか勝手に分かったつもりになっている)のだけれど、いまひとつ具体的なイメージが絞り込めない、という印象がある役者、というのが私個人の2代目左団次イメージです。
6代目菊五郎や初代吉右衛門などとほぼ同世代なのだろうけれど、菊吉にはその舞台を記録した映像があるのに対して、左団次のそれは見た覚えがない、というのも、そんな曖昧なイメージしか抱けない原因のひとつだろうか。(2代目の動く映像ってあるんですかね。初代の映像はちゃんと残ってるんですよねぇ。たった1分だけだけど。)
ですから、そんな2代目左団次について、いろいろな情報を提供してくれる企画展で、ありがたい。乃木希典・大隈重信やムッソリーニ(!)などという、かなりキワモノっぽい役もこなしているんですなァ。
↓は、架蔵の2代目左団次の墨跡。自作句なのだろう「ちらちらと小袖にかかる桜かな」。松莚は左団次の俳号。

左団次墨跡

テーマ:本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。