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速記雑誌『百千鳥』第2巻第1号
『百千鳥』第2巻第1号
(発行所:吟好会,発売元:駸々堂書店他,1891.1.5,8銭)
三遊亭円朝の『怪談牡丹灯篭』が発売されて評判を呼んで以来、明治20年代、速記術を駆使した、落語・講談の連載雑誌というのが、たいへん流行したらしい。『百花園』とか、『東錦』とか、『花筺』とか。1号につき5・6人の噺家・講釈師の落語・人情噺・講談が掲載される。落語は1回読み切りも多いけれど、人情噺・講談は少しずつ何号にも渡って連載された。それらの多くは東京に版元があったが、唯一、大阪で出版されたのが、この『百千鳥』という雑誌だったそうな。1ヶ月に2冊の割合で刊行され、30冊ばかり出たところで年が改まり、明治24年には第2巻として順次刊行されたようで、その第2巻第1号を最近手に入れた。
目次は次のとおり。
  春の詞/竹園居士
  春の夢内津復讐(第1、2席)/石川一口
  吉原奇談雨夜鐘(第1席)/翁家さん馬
  飛鳥山花の曙(第1席)/玉田玉芳斎
  高野駕篭(完)/曾呂利新左衛門
  真田織古郷の錦(第1席)/松月堂呑玉
  厄はらひ/桂小文枝
  (附録)羽団扇(完)/翁家さん馬
  速記者:丸山平次郎・島田喜十郎
  挿 画:稲野年恒・田口年信・泉谷信光
面白いなァと思ったのは、表紙なのです。
下方手前の白紙に、なにやらアラビア語のような文字がのたくってますが、これがつまり、速記の書体なんですね。それで、その背景になっている原稿用紙に、その速記を起こした文章が記されている、という趣向のようです。しかも、原稿用紙は裏向きに袋とじされている絵柄になっていて、つまり反故裏を再利用した帳面の体裁。ユニークな意匠ですなァ。
原稿用紙の文字は、裏文字になっているけれど、しっかり読み取れるようになっている。試みに翻字すると、以下のとおり。

速記術とは一種の簡単明瞭なる文字を以て、人の音声を発音と同時に記載するの、方法にして、我国に於て此術を発明し、始めて世に公にせられたるは我師源綱紀先生にして、先生は明治十五年十月廿八日、東京に於て之が伝習を試みられたるを以て嚆矢と致します……
抑々人類が音声を分解すれば父音母音の二種となる、又此父母音を合して諸種の子音を生ずると云


速記術の来歴が記されているのでした。子音の意味が現在と違っていたりするのも面白い。また、原稿の文字はわざとところどころ間違っていて、それを朱で校正してある。この時代の校正の仕方もうかがえて、これまた興味深い。
私は、速記の書体などというものは解読できませんが、手前の紙に記されたのが、この原稿の文章とたぶん同一だろうと判断するのは、4行目に「15/10/28」と記される数字が、原稿の文章中の「明治十五年十月廿八日」と一致するため。
ま、とにかく、なかなか洒落た表紙の趣向ではございます。
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