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川原テツ『名画座番外地』(幻冬舎)
名画座番外地―「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記 名画座番外地―「新宿昭和館」傷だらけの盛衰記
川原 テツ (2007/07)
幻冬舎

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(2007.7.25,270頁,¥1,400〈本体〉)

ビデオデッキというものが、学生にはまだ高価なシロモノだった時代に大学生だった当方などは、都内各所にあった名画座にはよく通ったものだった。頻繁に通ったのは銀座の並木座。あとは大学地元の早稲田松竹と高田馬場パール座。飯田橋の佳作座やギンレイ・ホールにもたまに…
で、ここで紹介する新宿昭和館は、新宿の現在の東南口からツタヤの前を結ぶ通りをちょっと奥の方に入ったところに存在した名画座で、たった1度きりだが入ったことがある。やくざ映画の3本立てで知られた映画館だが、どういうわけか東宝喜劇映画の特集を組んだことがあって、ラインナップの魅力だけから行ったのだった。入って驚いたよ。世の中にはこういうところもあるんだな、と。客席が暗くなって、上映が始まるトタンにそこここで客がタバコを吸い始めるんだな。だけどそこには一定のルールが存在していて、そのあたりについては、本書の159頁あたりにも書かれている。
並木座に馴れ親しんだ者は辟易させられるばかりの劇場で、その後二度と足は運ばなかったが、昭和館のアノ雰囲気を嫌悪したわけじゃない。むしろ、あの劇場体験は、もっともインパクトの強い貴重な思い出のひとつとなっている。そのインパクトの強さを、内側の視点から実によく活写しているのが本書。いいです。
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