購書ときどき読書、まれに訪書
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『支那小説 遊仙窟』(富士貸本出版部)
遊仙窟(表紙)
(1893.7.4再版,富士貸本出版部,巴利三郎編,102頁,定価25銭)
唐の張文成(張鷟)が執筆した伝奇小説『遊仙窟』の、明治26年に出版された活字本。同書の活字本としては、もっとも古いものらしい。古注も収め、頭注も充実している。本文・頭注は、元禄3年の序を有して江戸時代に版行された一指の『遊仙窟鈔』によるらしいが、頭注は大分改訂されているようだ。
巻頭の編者による「緒言」に「二三ヶ処本文を隠せし処は代ふるに○もてしたれど」云々とあり、いったいどんなところを伏字にしたのかしらんと探すと、案の定の箇所であった。
遊仙窟(伏字)
主人公・張生と、宿の女主人のひとり十娘との同衾場面である。ご覧のとおりの「○」の羅列。明治の半ばにあっては、やはり堂々と活字化するには、はばかられる本文だったのだろう。井原西鶴の好色本も伏字だらけだった時代である。
ただ、今回入手した本の面白いのは、この伏字部分の本文が、別紙に印刷されたものが一緒になっていたこと。
遊仙窟(別紙)
伏字の頁ののどに糊付けされていたけれど、それは多分、この本の元の持ち主の仕業で、売られているときには、別々になっていたのではないかと思う(最初から糊付けされていたら、伏字にする意味がない)。まるで、温泉場の地下出版物である(いえ、私は実物は知りませんが、そういうものがかつてあった、ということをモノノホンで読んだことがございます)。
『遊仙窟』は、万葉の時代から日本人が好んで読み伝えた(そして中国では長いことすっかり忘れ去られた)物語だが、ポルノグラフィ的要素が多分にある。こういうものを後生大事に注釈つきで千年以上享受してきた、というところに、日本文化の特色の少なくともある一面が現れていると思う。
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